●ご案内
■ホームページビルダーは縦書きができるので試しに作成してみました。GIFファイルになるとは思いませんでした。
　全部で四篇あります。「ちょっと難しいんじゃない？」と不評でした。童話っぽくないかもしれません。気持ちとしては、何か学びになるよう本人は懸命に考えたんですけどね。(ﾟoﾟ)　童話の真髄はきっと、そこには無いような気がします。
尚、お断りしておきますが既に発表済み作品です。入選しなかったけどね。
■このサイトは履歴・検索画面を表示して見た方が見やすく作成されています。
■終了するときは、右上の閉じるボタン（”×”）で終了してください。

秘密の部屋

　　　奇跡の命 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　瑞穂 　　　その１．たんぽぽ 春になるとたんぽぽが道のかたわらや野原に咲いています。 たんぽぽの花は一本のくきにひとつ咲いているように見えるでしょう？ でも、本当はたくさんの小さな花が集まって ひとつの花のように見えるのです。 ハチやチョウチョウがミツを吸うときに花粉がめしべについて、たんぽぽは種をつくることができます。 あのわたぼうしのパラシュートが、たんぽぽの種です。 命がうまれたんですね。 　ちょうど、この話を読んでいるあなたたちのようなものです。 でも、たんぽぽは植物ですから自分の種を育てることはできません。 一本のくきから一００〜二００の種をとばして種の無事を祈っているだけです。 　種たちは風にのってふわふわととびながら自分が住む場所を探すのです。 ほんとうに風まかせですね。 　ある種は、野原のかたすみに落ちることができました。 ある種はアスファルトの道路に落ちてひからびてしまいました。 ある種は川に落ちてくさってしまいました。 　こうして、春がきて芽をだすことができた種はほんの少しでした。 　　　その２．カエル 　ヒキガエルって知っていますか。池とか川とかでゲロゲロないている、ピョコタン・ピョコタンはねる動物です。 　ヒキガエルは、いちどに二五００〜四０００コもタマゴをうみます。 池の中のかんてんの中に黒いつぶつぶのはいったヒモがあることがあります。 あれがヒキガエルのタマゴです。 おかあさんガエルは育ちやすい場所をえらんでタマゴをうむんですけど、ぜんぶがオタマジャクシになれるわけではありません。 　でも、オタマジャクシになれたものはいっしょうけんめいにおよぎ、エサを食べます。 　あるオタマジャクシは、ついに手足が生えてきました。もうすぐおとなのヒキガエルになれそうです。 あるオタマジャクシはタマゴからかえったばかりにタガメという虫に食べられてしまいました。 あるオタマジャクシは池にすむブラックバスというさかなに食べられてしまいました。 　こうして、おとなのヒキガエルになれたオタマジャクシは ほんの少しでした。 　　　その３．ウサギ 　野ウサギって知っていますか？ こげ茶色をして山の草原をピョンピョンとはねている耳の大きな、目のパッチリした動物です。 　野ウサギは、一回にだいたい二羽のこどもをうむんですが・・・。 『なになに、なぜウサギの数え方が一匹・二匹じゃないかって！』 いいところに気がつきましたね。 ウサギは、鳥とおなじように一羽・二羽と数えるんだっておぼえてください。 こうしてうまれたウサギのこどもたちは、おかあさんに守られながら大きくなります。 ウサギは土に穴をほって家にしています。 生まれたてのときはおかさんのおっぱいを飲んで大きくなるのですが、やがて穴から出てムシャムシャと草を食べるようになります。 　野ウサギのおもしろいところは、人間が追うとまるく逃げるんです。野ウサギを追っていると、ここはさいしょにウサギを見つけた場所だったなんてことがよくあります。 ウサギの知っている場所で逃げるという逃げかたのひとつなのです。 　あるウサギのこどもは、つかまることなくおとなのウサギになることができました。 あるウサギのこどもは、草を食べているところをキツネにつかまってしまいました。　　　　　　　　 あるウサギのこどもは、きょうだいとあそんでいるところを空からおりてきたトビにつかまってしまいました。 　こうして、おとなのウサギになれたものはほんの少しでした。 　　　その４．そして人間 　人間のこどもは、だいたい一人しかうまれません。でも、そのほとんどがおとなになることができます。 　日本にうまれているこどもたちならば、食べるものにこまることもありません。 歩くこともできます。 走ることもできます。 べんきょうすることもできます。 あそぶことだってできます。 『なんだ、そんなことあたりまえじゃないか』と思いますよね？ でも、これこそが奇跡なのです。 なんでもないあたりまえのことのなかに人間や国の思いがこめられているのです。 戦争をたいけんした人たちは、平和で食べるものにこまらない世界をのぞみました。 たくさんのおとなやこどもたちがじゅうぶん食べられなかったり、びょうきになったりしました。 もっと食べたい、あんしんしたいとそのころの人たちは願ったのです。 その願いが今というときをつくっています。 だから、みんなは食べものにこまらない、ほとんどの人がおとなになれる世界を生きていますね。 でも、その願いがかなうまでに何十年もの朝と夜がひつようでした。 　さあ、これからはあたなたちが世界をつくる番です。 かんがえてください。 どんな世界があったらいいですか？ のぞんでください。 どんな世界があったらいいですか？ すべての人たちがよろこんでいる世界を。 それこそが奇跡の命のはじまりなのです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　おわり
　
　　　犬が西むきゃ（こども小話） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　瑞穂 　ことわざに『犬が西むきゃ、尾は東』なんてことを申しますが、 世の中にはひねた人間といいましょうか、 シャレた人間というんでしょうか こんな人たちもおります。 ある男『犬が西をむいても尾は下だろう。』 ある女『うれしい時は尾をふっているから、むきなんてないわよ。』 などとおっしゃいます。 　あるところに一人の少年がおりまして、 この少年の名前をヤマトくんと申します。 　このヤマトくん、ことわざ好きなのですが ちょっとひねるのが好きな少年でして、 注意深く物事を行う人のことを『石橋をたたいてわたる』人だ、 などと申しますが、 これを『石橋をたたいてわる』 などと作りかえております。 石橋をわったらわたれないじゃないか！ 意味はぜんぜん反対なのですが、 これがみょうにおもしろい。 石橋ついでにこんなのもあります。 『石橋をたたいて笑う』 きっと石橋をたたいてまでおかしかったのでしょうねぇ。 ありえないことのたとえとして 『ブタの木のぼり』を 『ブタもおだてりゃ、木にのぼる』だし、 『ネコに小判』は『ネコに交番』、 『ぬれて手に粟』は『ぬれて手に泡』、 『のこり物には福がある』は 『のこり物には毒がある』、 『犬もあるけば棒にあたる』は 『犬もあるけば足が棒になる』、 『かわいい子には旅をさせろ』は 『かわいい子にはタビをはかせろ』、 『サルも木からおちる』は 『サルも里におりる』、 『子は親のカスガイ』は 『子は親のカスかい？』 『見ざる、言わざる、聞かざる』は 『見ざる、言わざる、着飾る』 『カベに耳あり、しょうじに目あり』は 『カベに耳あり、ヒツジに目あり』 『ヌカにクギ』は『ゆかにクギ』 といったように意味があるやらないのやら、とんと見当がつきません。 もともと、ことわざは言葉のエッセンス ですから、あたらずとも遠からず といったところでしょうか。 エッセンスって何かって？ そうですねぇ、『大事なことをみじかい言葉であらわす』 といったところです。 まあ、言葉遊びでもよいです。 なかにはよくできたものもありまして、 『チリもつもれば山となる』などと申します。小さな努力もつづけていると大きな力になるというような意味ですね。 『チリもつもればジャマになる』 なんとなくまともに聞こえるからふしぎです。 そうじをしなけりゃダメだってことですね。 　ヤマトくんの家には小さな庭がありまして おじいさんが盆栽やキクを育てております。 このおじいさん、なかなかじょうずなかたでして ハサミをもってチャキチャキと手入れをしております。 見ているとどんどん盆栽が きれいになってゆきます。 これを見ていたヤマトくん、 『おじいさん、じょうずだね。』 『ほう、おまえにこれがわかるか？ だったら、ヤマトにひとつあげようかな。』 『ネコに交番だよ。』 『ほう、してそのこころは？』 『うん、ほんとうは「ネコに小判」だけど ぼくがすこ少しかえて「ネコに交番」にしたんだ。』 『ほう、いまのはやりかの？』 『はやってないけど、おもしろいから こういってるんだ。ほかにもあるんだよ。』 といって、『石橋をたたいてわる』とか 『石橋をたたいてわらう』とかを おじいさんにはなしてみました。 これがおじいさんけっこう気にいりまして 『わけがわからんが、なかなかおもしろいもんじゃのお、「石橋をたたいてわらう」ほどおかしいことにであいたいもんじゃ』と ヤマトくんと大笑い、 つい盆栽の台にぶつかってしまいました。 するとひとつの盆栽が台からおちて こわれてしまいました。 おじいさんは『ありゃ、やってしもうた。』 とあたまをかいています。 『おじいさん、「カッパの質流れ」だね。』 『「カッパの川流れ」じゃろが』 とふたりはまた大笑いしていました。 するとキッチンから『ガチャン！』という 大きな音がいたします。 おじいさんとヤマトくんは おもわず顔を見あわせていると おかあさんがなにやら 笑いながらやってきます。 『あんまりおかしくておちゃわん わっちゃったわよ。』だって。 するとヤマトくん 『おじいさん、これは「弘法も筆をつかう」ってとこですかね。』 なんていうものですから、 『「弘法も筆のあやまり」じゃろが。』 『じゃあ、「じょうずの手から水がきえ」っていうのはどう？』 『「じょうずの手から水がもれ」じゃろ。』 『じゃあ、じゃあ、「サルも木からとびうつる」ってのはどう？』 『「サルも木からおちる」でしょ。』 とおかあさんが言うと こんどは三人で大笑いとなりました。 するとおかあさんもなかなかやるもので 『じゃあ、「去るものは木からおりる」か』 とキッチンをかたづけにもどりました。 ヤマトくん、『おかあさん、やるなあ』 と思っておりますと 『この親にして、この子ありか。』 と、おじいさんもニコニコしておりました。 　このヤマトくん、 あるときしんせきのおじさんからもらいものがありました。 ドキドキしながら 小さなつつみをひらいてみますと、 舶来品・・・ みなさんはほとんど使わない言葉でしょうが、外国でつくられて日本にもちこまれたものという意味です。・・・ の万年筆が入っておりました。 『おじさん、ありがとう』とおじさんに おれいをいっておりますと、 そのそばに妹さんがおりました。 ヤマトくんには一人の妹さんがおりまして 名前をナデシコちゃんと申します。 ナデシコちゃんは手にフランス人形をもって 『おにいちゃん、｢ネコに交番｣だね。』 とニコニコしております。 こりゃ、いっぽんとられたと ヤマトくんはにが笑い。 おじさんは『「ネコに交番」？』とふしぎそうな顔をしています。 するとナデシコちゃんは 『おじちゃんことばあそびなの、 ほんとうは「ネコに小判」なのよ。』と おじさんにいっておりました。 おじさんはうなずいてニコニコしてました。 なかなか、かしこい妹さんでございます。 さて、ながながお話してまいりましたが そろそろお時間でございます。 このお話もここまでとさせていただきます。 　　　　　　　　　　　　　　　　おわり
　
　　　おねえちゃんのむかしばなし 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　瑞穂 　『あかね〜、もうおそいからダイスケをねかせてね〜。』 　おかあさんが、小学校六年生のあかねちゃんにいつものように声をかけた。 『はーい、ダイスケ！じゃ、ねるよ。』 『もう、ねるの？ もっと、おきていたいのにおねえちゃんの子守唄は、 もうあきちゃったよ〜。』 『よーし、じゃ、きょうはお話にしてあげる〜！』 『わかった。おもしろいのにしてね。』 『まっかせなさい。かたりべのあかねの実力をみせてあげよう。』 『かたりべってなあに？』 『おはなしのプロってこと！いくわよっ。』 『「金のオノ、銀のオノ〜。」 はじまり、はじまり〜。 むかし、むかし、あるところに正直なきこりがいました。 あるとき、きこりが池のほとりで木を切っているときのことです。 うっかり、手をすべらせてオノを池におとしてしまいました。 きこりはすっかりこまってしまい、 「どうしよう」とおもっていました。 するとどうでしょう、池の中からうつくしいあかねのような 女神さまがあらわれて、きこりにむかってこういいました。 「おまえが落としたのはこの金のオノか」 きこりはこたえました、 「いいえ、そのオノはわたしのオノではありません。」 「では、この銀のオノか？」 きこりはこたえました。 「いいえ、それもわたしのオノではありません。」 「では、この鉄のオノか？」 きこりはこたえました。 「はい、それがわたしのオノです。」 　すると女神さまの顔がみるみるオニのような顔になって、 「おまえのオノがあたってこのようなコブになったのよっ！ おまえにもおなじコブをつくってやるから、そう思えっ！」 といってきこりにちかづいてきたから、 さあ、たいへん！ きこりは、びっくりしてにげだしました。 オニの顔の女神さまは 「にげるか、まてーっ。」 といって手にしていたオノを 「えーい」となげました。 オノはヒュルラヒュルラと音をたてて きこりのほおをかすめてカツッと 木につきささりました。 きこりは「ひゃあ〜！」といってすわりこんでしまいました。 おそるおそるうしろをふりかえってみると そこには、もう女神さまはいませんでした。 こうして、きこりはなくしたオノをとりもどすことができたのでした。 めでたし、めでたし。』 『どう、おもしろかったでしょ。』とあかねが言うと、ダイスケは 『キャハハハッ。おねえちゃん、はなしがちがうんじゃない？』 『おっ、この子はまだねてないね。 じゃ、こんなのはどう？ 「うらしまたろう」はじまり、はじまり〜。 はくしゅ〜、パチパチパチパチー。』 するとダイスケくんも、おもわずはくしゅを してしまいました。 『むかし、むかし、あるところに うらしまたろうというひとりのわかものが いました。 あるひ日、うらしまたろうがつりから もどってくると、はまべでこどもたちが いっぴきの大きなウミガメをかこんでいじめていました。 「これこれ、そんなにカメをいじめるものじゃない。やめなさい。」 うらしまたろうは、こどもたちにいいました。 するとひとりのこどもがいいました、 「おいらが見つけたカメをどうしようと おいらのかってじゃないか！」 うらしまたろうは、すこしかんがえて ふところからオカネをだしていいました。 「このオカネとカメとこうかんしよう。」 このオカネは、きょうつった さかなを売ったオカネでした。 こどもは、このオカネをすばやくとると どこへやらいってしまいました。 のこっていたのは、うらしまたろうと 大きなウミガメだけでした。 いじめられていたカメは手足をこうらの中に ひっこめたままじっとしていました。 　うらしまたろうは、かるくこうらをたたいていいました。 「もう、二度とつかまるんじゃないよ。」 大きなウミガメはなみだをながしながら 海にかえってゆきましたとさ。 めでたし、めでたし。』 『おねえちゃん、ずるいや。 ちゃんとはなしてないじゃないか。』 ダイスケくんは、まだねていませんでした。 『あ、おきてたんだ？ あんた、いいかげんにねなさいよね。』 『おねえちゃんこそ、ちゃんとはなしてねかせてよ。』 『よーし、そんなこというならねむれないような、 こわいはなしをしてあげよう。 ある町でのおはなしです。 あるところに、夜になるとさんぽにでかける男の子がいました。 おかあさんは、 「おばけがでるから夜でかけるのはやめなさいよっ！」といっていたのに その夜も、そっと家からさんぽにでたのです。 ちょっとだけさんぽしたら かえろうと思っていました。 その日の夜の町はぶきみでした。 きょうにかぎって、人とあわないのです。 いつもなら、会社がえりのおじさんや おねえさんを見かけるのにだれひとりとしてあいませんでした。 「へんだなあ？ きょうは、はやくかえろうかな。」と男の子が思っていると、 どこかで「シクシク」と泣き声がきこえてきました。 「どこだろう」とみると すこし先のでんちゅうのかげでちいさな女の子がないているのでした。」 男の子はかけよると 「どうしたの？みちにまよったのかい？」 と、いいました。 それでも女の子はシクシクとないています。 「おかあさんにおこられたのかい？」 女の子は首をよこにふります。 「じゃあ、なんでないているの？」 すると女の子がいいました。 「目がなくなっちゃったの。」 「おにんぎょうのかい？」と男の子がいうと ああ、どうでしょう でんちゅうのでんとうがチカチカと てんめつしはじめました。 ふりむきながら女の子はこういいました。 「わたしの目がないのよっ！」 女の子の顔には目がありませんでした。 「おまえの目をよこせー！」・・・・・』 『わぁ、おねえちゃん、これじゃねれなくなっちゃうよ。』といってパタパタとダイスケくんは、 となりのへやへかけこみました。 『おかあさん、おねえちゃんたら、こわいはなしをするんだよっ！』 とおかあさんにたすけをもとめたのでした。 すると、おかあさんは 『おまえの目をよこせ〜。』といって ふりむきました。 おかあさんの顔には目がなかったのです。 （実は、目を閉じてただけなんですけど。） ダイスケくんは、びっくりしてなきだしてしまいました。 『えーん、えーん。おねえちゃん、おかあさんがおばけになった〜。』 あかねちゃんがへやにはい入ってきて 『ダイスケのばか！おかあさんがおばけになるわけないでしょ。』 　おかあさんはおフロからあがってパックをしていたのでした。 あかねちゃんのはなしがきこえたのでおばけのまねをしてみただけでした。 　パックをとったおかあさんはもとのおかあさんでした。 　それから、しばらくのあいだというもの ダイスケくんは、パックをしたおかあさんをみるたびに 『おまえはだれだっ！』ときいたそうです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　おわり
　
　　　なきむしおに 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　瑞穂 　よく、あなたたちくらいのこどもが、 デパートやでんしゃのなかで 「あれ、かってよー。」とか 「すわりたいよー」とかいって ないているときがあるよね。 　あかちゃんは、なくのがしごとだから 「あゝ、よくがんばっているんだなあ」と おもったりするのですが、 　あなたたちのくらいのとしで、 おねだりをしてないたり、 おもうようにならなくてなくのは、 あなたたちのこころ心のなかに 『なきむしおに』がすんでいるからなんだってしっていますか。 わがままなこどもたちのなかにすむ 『なきむしおに』は、 おとうさんやおかあさんをこまらせるのが たのしくてしかたがないのです。 「ぼくそんなのすきじゃないよ」 「わたしだってすきじゃないわよ。」 と、おもうでしょう？ 　でも、あなたがないているとき おとうさんやおかあさんが こまったかおをしていたら、 ちょっとあなたたちのこころ心のなかを のぞいてごらんなさい。 　ほら、なにやらよろこんでいる あなたがいませんか？ 　そのたのしんだり、 よろこんでいたりするきもちが 『なきむしおに』です。 『なきむしおに』はこころのなかにすむ 『おに』なんです。 　このおにたちは、いつも "わがままなこどもはいないか" "おかあさんをこまらせている こどもはいないか"と フワフワととんでさがしています。 それで、そんなこどもをみつけると パッと口からはいって、 もっとこまらせようとして おおごえでないたりするんです。 あまり、いつまでもないていると、 どんどん、どんどん、 なきむしおにのかずがふえて おとうさんやおかあさんに、パチッと なぐられたりします。 そうすると、『なきむしおに』は あなたたちのこころからパッとはなれて 「あゝ、びっくりしたなぁ。」 なんていっています。 　『なきむしおに』が いつもこころに住んでいると、 おとうさんやおかあさんに おこられることもおおくなるし、 おともだちからもきらわれてしまいます。 ひとは、ひとにすかれていきるのが うれしいことですから 『なきむしおに』をよばないようにしてください。 　じぶんだけを まんぞくさせるためのなみだは、 『なきむしおに』のだいこうぶつなのです。 「ほらほら、もっとないてくれよ。」とおもっています。 『なきむしおに』のおなかがふくれるころ、 あなたがたがながしたなみだもとまってきます。 でも、ちがうなみだも あなたたちはもっています。 　それは、ひとのためにながすなみだです。 ひとのためにながすなみだのまえでは、 『なきむしおに』はくるしくて あなたのこころのなかに すむことができないのです。 "せいぎ"ということばがあります。 マンガのヒーローたちは、 みんな"せいぎ"のために たたかっているじゃないですか！ "せいぎ"は、じぶんのためだけではないですよね。 ただしいことは、 あなたたちのこれからのじかんをつかって まなぶことでしょう。 いろいろな"せいぎ"がありますから できればおおきな"せいぎ"のために たたかい、ないてください。 まずは、きょうだいのために おかさんのために おとうさんのために おともだちのために なくことができれば いいんじゃないでしょうか。 そのなみだは、『なきむしおに』という こころのおにをはじきとばすちからです。 　いきものは、たがいにささえあって いきています。 　それは、ひとのあいだでもおなじことなのです。 　　　　　　　　　　　　　　　　おわり
　




ページの終了時は右上の閉じるボタンで終了して下さい！