旧日本陸軍の関東軍参謀、伊藤忠商事の会長だった方の本です。
　第二次世界大戦時のことから、国鉄民営化、そして現在を綴っています。
　大戦時のエピソードは涙無くして読めません。関東軍参謀であったために、終戦後十一年間ソ連に幽閉抑留されました。帰国後、自衛隊への道もあったわけですが、娘に涙で止められて民間企業に就職されました。また、今郵政民営化が問題になっていることもあって自分の中で国鉄民営化と比較してみてもおもしろいのではないでしょうか？国鉄民営化のときは死人が出ると言われたほど揉めたものです。
そんなこともあり、最近では最上の本です。是非、一度目を通すことをお薦めします。
その他にも、『大東亜戦争の実相』がPHP文庫から出版されています。第二次世界大戦について書かれた本は数あるわけですが、これは日本側の参謀が記した内部から見た大東亜戦争という貴重な資料であり、歴史の実相そのものです。

　少し前に流行っていた本です。キリスト教徒でありながら、キリストナイズされていない国学的意味を感じさせる本です。この本を読んで、”新渡戸稲造”という人が立派であったことを知った私でした。（それまで、よく知りませんでした。）一番好きなのは、日本の心を捨てずに新しいキリスト教を取り込んだことです。過去から、文化を捨てずに他の文化を同化させることが上手な日本人らしい作品です。
吉田松陰に通ずる、歴史の血脈を受け継いでいることを強く感じさせてくれます。新しいキリスト教を得ても尚、彼の中にはサムライとしての根底が無くなってはいないのでした。

　1835〜1901。豊前国中津藩士、のち幕府に出仕し幕府遣外使節に随行して渡欧・渡米。1868年、慶応義塾を創設、在野の代表的啓蒙思想家として活動し、国民精神の変革をめざした。
　初編の”天賦人権”に書かれている「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」があまりにも有名です。この校注を書かれた伊藤正雄氏の解説も十分な調査を経たことを想像させる良書と言えます。
　欧米列強の足音が聞こえる中で、国民の啓蒙と独立を解りやすく説いている先駆者的な著書といえるでしょう。独立するためには、国民一人一人が独立しなければならないというのは、まさしく民度の高揚を狙ったものだと思います。
　江戸時代、日本の識字率は70％と言われており、これは世界トップレベルであり、当時の英国よりも上だった。そういった下地が福沢諭吉によって開花して行ったのかと、ふと想いを巡らせてしまいました。

　著者に関しては上記「１．日本の証言」を参照してください。
　最初に、日本を憂いている方は是非一読することをお薦めします。それぞれの専門家の方々との会話形式になっていますが、主張は明確です。日本の歴史と日本の将来像の提起を模索しているものです。とても良い本かと思います。
　構成は第一章歴史の蘇生（渡辺昇一氏）、第二章経済と倫理（稲盛和夫氏）、第三章国際社会と日本（岡崎久彦氏）、第四章政治の道標（佐藤誠三郎氏）、第五章行革の核心（加藤寛氏）、第六章教育の再建（西澤潤一氏）、第七章宗教と哲学（梅原猛氏）となっています。
　最終的に提示されていることは、大きく３つあり、�@日本とは何なのか、�Aこれからの日本に活力を与えるのは何か、�Bこれからの日本を支えるのは何か、ということへの考察です。
　経済大国といわれて久しい日本ですが、その中で求めるべき理想を持たなければリーダー足り得ないことを説いています。

　インドの独立の父はガンジーですが、インドで緑の父と呼ばれている日本人が存在します。その人の名は杉山龍丸といいます。祖父は政治家・杉山茂丸、父に文学者・夢野久作を持つ人です。この本の著者・満丸氏は龍丸氏のご子息です。
　祖父・茂丸氏が残してくれた約４万坪の土地をすべて売り払って（現在の価値で約140億円）、独立後、インドの初代首相となられたネール首相からの依頼に応えて、インドで緑化事業をしました。そして、彼がそれを発表したのは、事業を始めてから約20年が経過した昭和四十九年（1974年）のことでした。日本の国民は、彼の功績を世界に誇って良いと思います。
　しかし、悲しいことは、第2回国際砂漠会議に出席して、龍丸氏はこの成果を世界の学者に報告したかった。ところが、自己保有の土地を売り払ってしまい渡航する費用が捻出できなかった。日本政府にも協力を依頼したが、政府からの返事は冷たいものだった。「役人でも学者でもない一民間人が国際会議に出席するのはやめてほしい」・・・そう日本政府は、理解を示そうとはしなかったのだ。結局、彼の熱意を知った友人の松本英一氏が、五十万円を工面してくれてオーストラリアへ行くことができたのだそうだ。
　それでも、国際会議での発表では各国の学者から称賛を受けた。世界が認めてくれたことが救いだったと思います。
この本は、良い本です。涙もあれば、喜びもあります。是非、一読されることをお薦め致します。

　1925年生まれ。1981年〜2003年マレーシア首相。東南アジア諸国は200年余の植民地政策に晒されていましたが、第二次世界大戦を境に、それらから立ち上がりました。彼は「ルックイースト政策」として敗戦後の日本の成長を手本とした政策を実施し、1997年のアジア通貨・金融危機の際は変動相場制の弊害を訴え、固定相場制の導入を柱とした資本規制策を実施して国家経済を復興させました。政策に日本を手本にする程の親日家でありながら、現在の茶髪とピアスの日本の若者から学ぶものは無いと切り捨てる等、歯に衣着せぬ語調が快いくらいです。その心情から生まれた本なのです。昨今の日本の政治家達が目標を失い、自分で考える事が無いのではないのか？という危惧の元に叱責をしているとともに願っている姿がそこにはあります。愛している故の諫言であることは明白です。
　彼は言っています。「軍国主義はよくないことだが、愛国主義的であることは悪い事ではない。愛国主義は国が困難を乗り越える上で助けになる。祖国を守る事と攻撃的な軍国主義は同義語ではない。」「日本は戦争の贖罪意識から解放されるべきだ。」それは度重なる戦争謝罪の言葉は、必要ないと感じているに違いないのです。そして、謝罪よりも東アジアを牽引してほしいと願っているのです。

　イギリスの著述家。はじめ医者であったが、本書「自助論」の大成功後、文筆に専念する。世界的ベスト･セラー。
　この本の説明は、訳者の解説から引用してみたい。”今から140年前に出版された本で、日本では明治四年には中村正直によるその日本語訳が「西国立志編」と題して出版されている。
「西国立志編」は福澤諭吉の「学問のすゝめ」と並んで明治の青年たちによって広く読まれ、当時の日本で総計100万部ほど売れたと言われる。『天は自ら助くる者を助く』という独立自尊のスローガンが明治の青年たちを奮い立たせたのである。
　この本が出版されたのは、イギリスが世界最強の国であった時期である。最盛期のイギリスを支えたのは、自助の心を持ったイギリス国民であった。本書の冒頭で、スマイルズはそのことをはっきりと書いている。
　こういった本は、自分の心の状態によって着目する文章が変わることが予想される。繰り返し読むことによって、全体を吸収することができるような本であると思う。まさしく、「学問のすゝめ」と同様なのではないだろうか。

　著者は1963年生まれの韓国人です。元々は、反日感情のある普通の韓国人だった。それが、オーストラリアへ留学することによって、オーストラリアがこれから工業化するためには１０年〜２０年かかるだろうと予測した。当時の韓国は、かなりの工業化が進んでおり、そこから、どうして韓国が発展できたかを考察した結果、この本を記すことに至ったというものです。
しかし、彼の本は母国では発禁本扱いされ、あまり売れなかった。しかし、日本では、かなり読まれたことを感謝するとともに母国の人々が読まないことへの残念さすら表している。
　彼は、ちょっと極端な自論の展開をするところもあるが、客観的に論理的な話の展開をしている。日本の神道解釈は間違っている箇所もあるがプエルトリコとの母国の比較をするなど、広範囲に渡る考察を行っている。反日が起こっている今だからこそ、彼らの視点から日本という国を眺めることは斬新な発見をするに違いないと思うのです。

　ラダビノード･パール：1886年インド･ベンガル地方出身。カルカッタ大学理学部、法学部を卒業後、同大学法学部教授、インド政府法律顧問等を経て、1941年カルカッタ大学高等裁判所判事、44年カルカッタ大学副学長、46年インド代表として極東国際軍事裁判判事に就任。裁判終了後、国連国際法委員会委員、同委員会委員長等を歴任。67年死去。
　田中正明：1911年（明治44年）長野県出身。旧制飯田中学校卒、興亜学塾に学ぶ。大亜細亜協会、興亜同盟にてアジア解放運動に従事。戦後、「南信時事新聞」編集長を経て、世界連邦建設同盟事務局長、国際平和協会専務理事等を歴任。主な著書に『パール判事の日本無罪論』『「南京事件」の総括』（ともに小学館文庫）等がある。2006年死去。
　この本を通して、著者の未来に対する洞察力の凄さは、今でも色褪せていない事を実感します。例えば、『社会思想の面でも、禁欲主義と自我抑制を指導的思想とする思考方法と、自己主張を促進する傾向が同時に存在する』『一例をあげるならば、大都会では快楽境がどんどん大きくなり、多くの外国人がひしめいている。たとえ外国へ行かなくても、ラジオという文明の利器は人間の娯楽欲を満足させてくれる。そして人間は徐々に孤立化の方向に向かうのである。かくしてすべての人間は、次第に相互の親近感を失い、自己の所属する社会的組織から疎遠になり、やがて人生についての確固たる意志や、社会に対する責任感を喪失するようになる』『東洋と西洋とのそれぞれの真価をいかにして統合するかを、われわれは考えねばならぬ時期にきたのである。そうすれば、地球上の悲劇、苦難、流血は消え去るに相違ない』等々。
　簡単に解釈すれば、西洋的唯物史観が限界を警告しつつある時、打開のために東洋的な精神史観が必要になると言っているのだと思います。まさしく、現代が直面している事なのではないでしょうか？

　日本の近代史は、敗戦によって全否定されるような歴史しか教育されていません。本来歴史は自由主義史観でなければならないものが、自虐的と言わしめるような歴史認識になっており、日本という国の良い面すら覆い隠してしまっているのが現状です。ここでは戦争を賛美するのではなく、事実を事実として認識することが大切なのではないでしょうか？
　その意味から、この本は日本人の世界に果たした重要な事柄を表しています。敗戦には敗戦の理由があることがわかるのです。歴史を学ぶという事は、良き事は継承し悪しき事は改めるという態度が本来の人間の姿であり、日本人の歩むべき道だと思います。

　東京裁判において、唯一国際裁判法に基づいて判定を行ったインドのパール判事の判決文について書かれたものです。
「時が熱狂と偏見をやわらげたあかつきには、また理性が虚偽からその仮面を剥ぎとったあかつきには、
そのときこそ、正義の女神は、その秤を平衡に保ちながら、過去の賞罰の多くに、そのところを変えることを要求するだろう。（『パール判決文』より）」
これは、発表後に欧米諸国の判事から正論として評価を受けました。この本もまた、日本の独立が確立した直後に販売されましたがベストセラーとなりました。しかし、ＧＨＱの狡猾な宣伝により日本人が過去の全否定をしていることを嘆いたことも確かなことです。

　郵政民営化を問う選挙前に、書店から無くなってしまった本です。副題は「アメリカの日本改造が進んでいる」と記してあります。ちょっと、原文から紹介しましょう。〜ソビエトの軍事力より日本の経済力のほうが脅威〜「１９８９年８月『ビジネス・ウィーク』が発表した有名な世論調査がある。ソビエトの軍事力を脅威と感じるアメリカ人２２％に対し、日本の経済力を脅威と感じるアメリカ人は６８％もいたのだ。この世論調査の結果はアメリカではしばしば引用され、長く語り継がれた。」・・・「青木建設は’８７年にウェスティン・ホテルを買い取った。三菱地所は’８９年にロックフェラー・センターを買い、ソニーはコロンビア・ピクチャーをと後に続いた。」
アメリカ人は、コロンビア映画とロックフェラー・センターを日本に買収されたのがよほど悔しかったらしい。・・・
そこから、日米円ドル委員会や日米構造協議が始まった。それは、グローバル・スタンダードという名の押し付けである。規格を同じくするということは、そこに商売の機会が生じるという事である。その内容は？一読してみてください。
日本人は、だからこそ自分の風土や慣習に合った方法を取り込みながら模索すべきであることを考えさせられます。

　2001年11月29日に出版されたので、多少のアンマッチはあると思います。ただ、その中に貫かれているのは、資源の無い日本の本来あるべき姿ではないかと思います。印象的な部分を以下に記してみましょう。
　「アメリカは金融業と情報産業の分野で国際的に優位な立場にあるが、製造業については実績も低く、日米貿易の内容を比較してみると、アメリカの輸出産品は農産物が多い事がわかる。製造業の規模も大きくない。ハイテク度も日本は上位品目がハイテク１００％であるのに、アメリカは低い。しかも輸出額が伸びず、毎年莫大な赤字を出している。最近、ＩＭＦ（国際通貨基金）協定第四条に基づく加盟国年次協議報告が発表され、アメリカ経済について興味ある指摘がなされた。その中でＩＭＦは、『アメリカの対貿易赤字規模は長期的に見て維持可能なレベルとは考えられない』と厳しい警告を発している。」
　したがって、日本がアメリカ経済をそのまま真似をした場合、農産物のない日本は更に悲惨であることが想像できる。だからこそ、日本は日本独自の路線を選択していかなければならない。その中心は、製造業という実業ではないだろうか？と思うのです。

　早稲田大学社会システム学部客員研究員と紹介されていますが、実際はフリージャーナリストだと思います。民主党の党員だったこともあったようです。また、私自身も本のタイトルだけでは購入しようとは思っていませんでした。しかし、ある掲示板で中国人と名乗る人と話をした時、「教育を変えて100年経過すれば状況は変わるでしょう？」との問いに「そうではないんだ。」と回答されて理由がわかりませんでした。
　何気なく、新刊の中で目に付いたので読み始めてから「これのことか！」と思い購入した次第です。日本以前に満州を侵攻したソ連に対して、反露デモが起こらず、100年の長きに渡って香港を強奪したイギリスに対して反英デモが起こらないにも関わらず、反日デモは起こった。今回の反日デモは、中国共産党が指導したデモだと言われていますが、デモ隊が掲げていたプラカードに小泉首相と一緒に二人の軍人の写真があった。板垣征四郎参謀本部部員と松井石根ハルピン特務機関長だった。敗戦後、南京大虐殺の責任を問われ、Ａ級戦犯として絞首刑となった人達である。特に松井石根大将は、孫文・蒋介石と縁があり中国との関係に心を砕いていた人であるにも関わらず・・・。憎しみの対象になったことは残念な事です。
　南京事件・東京裁判については「教科書が教えない歴史１〜３」、「パール判事の日本無罪論」、「南京事件の研究〜その実像を求めて〜」を参照してください。興味があれば、一読すると若宮氏が感じた生の中国人を感じることができると思います。

　著者は1938年、台湾生まれの台湾人です。1964年に来日。早稲田大学商学部卒業。明治大学大学院西洋経済史学修士。『中国の没落』（台湾・前衛出版）が大反響を呼び、評論家活動へ。著書、多数。
　文化の相違が歴史の捏造を生んでいることを語っている。日本や西洋社会は法治国家であるが、中国･朝鮮半島は儒教による人治国家であるが故に朱子学の中の『放伐論』が今でも存在する。最終章の”おわりに”から少し抜粋してみよう。
「そもそも中国の『大中華』と同様、朝鮮半島の『小中華』でもまた、歴史捏造、歴史創作が伝統文化になっているからだ。ことに朝鮮半島では王朝が変わるたびに、史料の湮滅焼却が行われ、歴史が捏造されてきた。　（略）
　戦後の二つの新生、あるいは転生の国家において、それぞれが韓民族、朝鮮民族を育てていくには、やはり民族主義が必要であり、そのための梃子としての反日が不可欠になっている。だからこそとことん自国史を美化するとともに、「日帝」を悪魔化しているのだ。それは彼らなりの事情として、理解できないこともない。だが彼らだけでなく、反日日本人までもが同じような韓国史観を強調し、謝罪と反省を繰り返している。そしてそれが韓国の歴史捏造と反日歴史教育の暴走に拍車をかけているのだ。」
　私たちの祖父達が、彼らが言う酷い政策を行っていない事を、むしろプラスであった事を確認してみてください。

　著者は1938年、台湾生まれの台湾人です。1964年に来日。早稲田大学商学部卒業。明治大学大学院西洋経済史学修士。『中国の没落』（台湾・前衛出版）が大反響を呼び、評論家活動へ。著書、多数。
　この著書は2002年1月徳間書店から刊行された『捏造された近現代史』を改題、加筆したものです。注目すべきことは、日本人の中で第二次大戦敗戦後希薄になってしまった”明治維新”・”日露戦争”といったものが世界的には高い評価を得ているということの再認識です。フランス革命・ロシア革命に関して語られる事が少なくなっても、明治維新に関しては未だに世界的には検証され続けている。日清戦争後、中国の分割案が列強間では既に決定されていたにも関わらず日本の日露戦争の勝利によって白紙となった事。そして、有色人種を白色人種に認めさせる最初のきっかけになったことが最大の評価であると思います。
　また、昨今問題になっている中・韓・北による歴史認識に関して、抗議している国家の方が易姓革命の国家で最終権力を握った国家から見た歴史認識となるために、歴史の捏造につながりやすいということです。（彼らにとって歴史とは政治そのもの）
　個人的に興味を引いたのは、「ハル･ノートを書いたハリー･ホワイト米財務次官は、戦後になってソ連のスパイであり、ソ連の指示で書かれたという裏付けの史料が出てきた」ということです。「盧溝橋事件」がコミンテルンの指示による日本の南下引き込み政策であり、近衛文麿内閣のゾルゲ事件における朝日新聞記者・尾崎秀実のスパイ行為など、スターリンの日本軍北上を阻止する動きが随所にあったことでした。

　著者は1932年（昭和7年）神戸市生まれ。作家、政治家。一橋大学法学部卒。「太陽の季節」で芥川賞。国会議員を9期25年務め、1999年より東京都知事。著書多数。
　石原氏が東日本大震災後に「天罰」という表現を行って顰蹙を買ったことがありますが、語弊を恐れずに言うならば、実は、自分もそうかもしれないと思ってしまいました。これは東日本の人たちへの天罰ではなく、日本人に対する警告ではなかったか？
　しかし、被災地の方々は、被災された中にも他を思いやる姿勢が世界から賞賛を浴びました。
　この石原氏が著した「新・堕落論」は、このたった一言を発っせられたことが理解できる。このプロセスならば、当然出るであろう言葉であると察して疑いません。
　この本は「平和の毒」「仮想と虚妄」の二章から成り立っていますが、それぞれのプロセスが分かり易く説明されています。様々な国の方々の言葉で状況を代表されていますが、最後は福沢諭吉の言葉で締めくくっているところが、日本人らしいと思います。
　一度、戦中から戦後の成長期、低迷期まで見てきた石原氏のこの本を読んでみたらどうでしょうか？

　今の時代だからこそ、楠公かな？と思い読み始めました。著者は「宮本武蔵」や「三国志」の吉川英治氏です。
　全８巻ですので、まだまだ先があります。
　第１巻は、足利尊氏の存在から書かれ始めています。読み易く、字句の意味さえ分かれば早く読めます。

　著者に関しては、日本人のキリスト教思想家・文学者として有名ですが、詳細はお調べください。
　この本は、ふと気が付いて読んだものです。最近の教科書からは、特定の人物を描くのは不平等だということで偉人伝と呼ばれるものが割愛されているらしいのですが、この本は、良い本だと思います。西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮上人が紹介されていますが、平易な言葉遣いで魅力的な描き方をされています。
　若い頃に読むことを強くお勧めする本だと思います。

　この著書は2003年5月徳間書店から刊行された『中国人の卑劣　日本人の拙劣』を改題したものです。
　かなり鮮烈に中国社会の闇を記したものではないでしょうか。印象的な文章は多々あるのですが、日本人が中国に対する認識を誤る原因を「確実にいえることは、隋・唐時代から江戸時代に至るまで、唐やもろこしを『道徳の国』だと理想化するクセがあるということ」と指摘していること。そして、「戦後の進歩的文化人、中国専門家、中国ウォッチャーがふりまいたプロパガンダに毒されている部分が大きい」と本質を衝いていること。
　もう一つは、「自由主義国家では、国民にいかにより多くの自由を与え、いかにより豊かな生活を与えるかが国家目標である。しかし社会主義国家では、人民に自由も豊かな生活も与えることができない。それどころか社会主義究極のイデオロギーである『万民平等』さえも実現できない。ソ連では、人民の上に赤い貴族（ノーメンクラツーラ）がいた。決して万民が平等ではなかったのだ。
　マルクス・レーニン主義に限界を感じた中ソは、�ｹ小平による改革開放、ゴルバチョフによるペレストロイカを、それぞれ行ったのである。ベトナムにおいてはドイモイ政策が取られた」と痛烈な指摘をしている。
　問題なのは、この闇は民の本質に触れるだけに容易に変える事はできないだろうと推測できることです。

　著者は、1874年、スコットランドのエジンバラ生まれ。オックスフォード大学卒。1898年、香港英国領事館に着任。1919年、皇帝溥儀の家庭教師に就任。宮廷内で唯一の外国人として、その内側を見聞する。本書は、その貴重な記録である。1930年、英国に帰国し、ロンドン大学教授に。1938年、死去。（祥伝社黄金文庫・同書カバーより）
　この本は、東京裁判において日本側から資料として提出されたこともある本です。しかし、連合国は、自分達に不都合だったらしく却下したという本です。『紫禁城の黄昏』は、この本の出版前に岩波書店から出版されておりますが、ところがこの岩波文庫から出版された文庫本は原書の第一章から第十章までと、第十六章を全部省略しているとこの本のまえがきで指摘されています。
　当時の清国末期から中華民国に至る経緯など、その雰囲気を充分に感じられる本であり、西洋人が見た中華帝国の貴重な資料であるでしょう。

　著者は、昭和41年12月8日生まれ。歴史家である松井石根大将元秘書官で「パール判事の日本無罪論」著者田中正明氏の門下生総代。また、編纂者として田中正明氏の諸論文を纏めた『新しい歴史観の夜明け』は米国エール大学選定図書に指定されています。
　非常に濃い内容の本です。1ページの中に目を引く事柄がいくつもいくつも発見できます。一つ一つの事象への反芻を要求する本と言えるでしょう。また、一読後に、読み返すことによりさらに新しい発見もあると思います。

　ジャーナリスト。1950年、長野県松本市生まれ。慶應義塾大学卒業後、1973年、ＮＨＫに入局。1994年から11年にわたり「週間子供ニュース」のお父さん役として活躍。2005年よりフリーに。今さら聞けないニュースの本質をズバリ解説。『日銀を知れば経済が分かる』（平凡社）、『わかりやすく（伝える）技術』（講談社）など著書多数。テレビなどでも大活躍中。
　今一番、テレビに引っ張りだこになっている人ではないでしょうか？この本も分かりやすく解説されています。ちょっと気になったのは、アメリカの捉え方。「各党の支持基盤を知るのにわかりやすい言葉があります。それは『赤いアメリカ』と『青いアメリカ』です。共和党のシンボルカラーが赤、民主党が青であることから生まれた言葉です。・・・」
　という話から始まり、いくつかの例を引用して説明されているのですが、民主党の悪い側面が不足しているような気がします。クリントン政権時に日本はジャパン・バッシングどころかパッシングされ、東アジア共同体構想に不満を持ったクリントンは、ソロス・ファンドと組んでタイのバーツを急落させアジア金融危機を起こしたと言われています。共和党は、日本への原爆投下を反対したのに、フランクリン・ルーズベルトは日本に二十数個の原爆投下を考えていたと言われています。
　この辺りは、これを読んで頂いている方々が自分で調べて判断してくださることが一番かと思います。

　続編である２を読みました。やはり、この本の価値は、過去の事例と現在の事例を比較することができることが最大のポイントではないでしょうか？しかし、ジャスミン革命を民主化運動と書かれた事には、少し疑問を感じます。チュニジア・エジプトで革命が起きましたが、片方では、世界の相場が高騰して食料が手に入りにくくなった現実があります。独裁政権でも、ある程度の生活が脅かされなければ人々は立ち上がるものではないと指摘する情報もあります。
　『国連食糧農業機関（FAO）の調べによれば、2009年1月から2010年12月までで、トウモロコシ相場は51％、小麦は32％、砂糖は177％も上昇している。
　特に、エジプトは1人当たりのパンの消費量で世界一ともいわれる国で、貧困層は政府から補助金が出ている公営パン販売所で安いパンを購入し、中流以上の層は一般店で高級パンを購入していた。
　ところが小麦価格の高騰で一般店のパン価格がこの半年で約2.5倍に跳ね上がり、中流層も公営パン販売所に押し寄せ、長蛇の列ができるようになった。行列でのいさかいが暴動の引き金を引くのである。』（2011年3月19日(土)　NEWSポストセブン）
　そして、それは自然なことではないかと考えるからです。

　再び、続編である３を読みました。池上氏の消費増税の解説は、至ってシンプルです。引用してみましょう。「消費税率を引き上げようとする試みは、『社会保障と税の一体改革』と呼ばれます。名前だけ聞けば、聞こえがいいのですが、わかりやすくいえば『社会補償費が足りなくなったから消費税を引き上げます』ということです。」極めてシンプルであることがわかります。
　また、共和党代表候補のロムニー氏に対して、これまでの大統領はケネディはカトリック信徒だったが、他の大統領はプロテスタントだった。しかし、ロムニー氏は、モルモン教である。と大統領として疑問符をつけています。参考になる視点ではないでしょうか？
　イスラム金融に関して説明されていますが、とても興味が湧きます。少し、引用してみます。
「イスラム金融とは何か。イスラム金融に基づく銀行では日本や欧米等の銀行と違って利息が付きません。聖典『コーラン』に”アッラー（神）は、商売はお許しになったが、利息取りは禁じたもうた”とあります。利息は不労所得であるという考え方があるからです。
　とはいえ、金利が付かなければ、銀行は預金を集めるのが困難です。そもそも金融業が成り立ちません。そこで『商売』という形にすればいいと考えたのですね。「利息」ではなくビジネスの「手数料」なら許されるからです。たとえば、車を買いたいAさんがいたとしましょう。普通の銀行ならAさんに車を買うお金を融資し、Aさんは購入した後、利息を付けて借りたお金を銀行に返していきます。
　イスラム金融では、銀行が支払いをします。買った車をAさんに手数料を加えて売る仕組みです。
　資金を必要としている企業があれば、銀行は、お客さんと一緒になって、企業に投資。企業が利益を上げたら、銀行とお客さんが利益の一部を分け合います。
　普通の金融は、お金だけ動いて、お金がお金を生むこともありますが、イスラム金融では必ず実物が一緒に動きます。必ずモノ（商品）の動きが伴う。だからバブルが発生することがありません。」引用終わり。
　やはり、現行のデリバティブ等は、素人目にもゲームとしか見えず、資本主義の限界を宣言しているようにも見えてしまうのです。イスラム金融の素朴さは、原点の再認識を求めているかのように思えて仕方がありません。

　ジャーナリスト。1953年、島根県生まれ。フリージャーナリストとして、中国・朝鮮問題を広く取材・分析している。著作としてはデビュー作。他には『中国ビジネスのウソ』『田中角栄と毛沢東』など。
　これを全国民が知ったとしたら、ＯＤＡとはいったい誰のための、何のためのものなのか？と疑問に思うのではないでしょうか？ＯＤＡといえども税金の使途には変わりなく、これらの支援先や支援結果・詳細は国会等で検討されるべきもの、外務省はそれらを広く公開すべきだと思わせる内容だと思います。

　ジャーナリスト。1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドレポートを続ける。1994年、『龍の伝人たち』（小学館）で21世紀国際ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。その他にも著書あり。
　引用すれば、『高級デパートには二万円の値札のついたTシャツが当たり前のように並び、四万円もするスニーカーが無造作に陳列されている一方で、そのデパートを一歩外に出れば北京のタクシーは初乗りわずか十元（約130円）で乗ることができ、屋台で売られている茹でトウモロコシは、安ければたった一元（約13円）で食べられるのである』この相場を緩衝しているものが地下経済（第二経済）の存在抜きには語ることができない。としています。
　改革開放で先に富める者は存在するようになった。北京大学の夏業良教授の試算によれば、中国では人口のわずか1％の人々が41.4％もの富を独占しているという。大きな格差が、このような社会状況を生み出し、表の金融を使えない多くの人々のために地下経済が必要になっているという構造を知ることができると思います。

　著者に関して紹介がないため、知りたい方は申し訳ありませんが、御自身でお調べください。
　最初の題目が「グライダー」というのですが、この視点が面白いと思います。簡単に述べますと、これまでの教育は、記憶と再生に重点が置かれていて、人は自力で飛んでいると思っているが、実は風に乗って飛んでいるグライダーと同じ人が如何に多いかを語ってくれます。そして、ジェット機のように自力で飛ぶ必要性を語ってくれます。如何にもその通りかと、ふと、思ってしまうわけです。
　産業革命で人が行っていた生産活動という仕事が機械に取って代わられ、人は事務職に逃げ込んだ。ところが、コンピューターの出現によって事務職からも追い出されている。後から発生した機械の方が記憶と再生に関して人よりも優れているので、人は機械ができないことを行わなければならなくなってきている。
　教育は、記憶と再生に重点を置いているけれども、これからはそれではいけないだろう。未知の思考や新しい思考を行うための教育が必要になってくると説いているように思います。何回か読み直さないと実態は掴み難いかもしれません。

　お茶の水女子大学名誉教授。1943年（昭和18年）、旧満州新京生まれ。新田次郎・藤原てい夫妻（共に作家）の次男。東京大学理学部数学家卒業、同大学院修士課程修了、コロラド大学助教授、お茶の水女子大学理学部教授を歴任。
　主著に『国家の品格』があり、下記に感想は記してありますが、この本も30万部を突破したとのことで読ませていただきました。
　最初に思ったことは、日本人の全ての方々が賛成・反対は別にして一度は読んで頂きたいと思った次第です。歴史学者であれば、師弟関係があるために書けない事もあるに違いないことは、容易に想像できます。数学者だからこそ、書けたのかもしれません。
　そして、著者が語る「新しいローカリズム」が創造される事を期待致します。

　1955年長崎県生まれ。経済産業省大臣官房付。東京大学法学部を卒業後、通商産業省（現・経済産業省）に入省。大臣官房会計課法令審査委員、産業組織課長、OECDプリンシパル･アドミニストレーター、産業再生機構執行役員、経済産業政策課長、中小企業庁経営支援部長などを歴任。2008年国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し、急進的な改革を次々と提議、「改革派の旗手」として有名に。09年末に審議官を退任したあとも省益を超えた政策を発信し、公務員制度改革の必要性を訴え続けたためか、10年秋に参議院予算委員会で仙谷由人官房長官から「恫喝」を受ける。著書に『日本中枢の崩壊』（講談社）、共著に『日本が融けてゆく』（飛鳥新社）がある。
　詳細は一読して頂くことが良いかと思います。全てを肯定するわけではありませんが、これだけアイディア・指針が豊富な人物を使わないのは、国家として損失なのではないでしょうか？と思ってしまいます。一部を引用してみます。
　『今回の地震と津波で壊滅的被害を受けた東北太平洋沿岸の鉄道会社がある。一部区間が復旧したことが、テレビなどでは感動的に取り上げられていた。
　じつは、これら地域の鉄道は震災前から大赤字。並行して走っているバス路線もやはり赤字に喘いでいた。そのため、各県をはじめとする自治体が鉄道とバス両方の赤字を補填しなければならず、地元財政を圧迫していた。
　ところが、幸か不幸か震災で鉄道がストップしたため、バス会社の経営は劇的に改善し、黒字に転換したところもある。そんなときである。国土交通省がこれらの鉄道に巨額の補助金を出して復旧させる方向だと発表したのは・・・。
　となれば、復旧まで何百億もの金がかかるのはもちろんのこと、鉄道が元に戻ったとたん、バス会社はふたたび大赤字に転落。鉄道とバスを合わせて、毎年、何億円にもおよぶ赤字を各自治体はふたたび補填しなければならなくなるのである。
　極論すれば、大赤字をつくるために一所懸命、復旧しようとしているようなものだ。』
　皆さんは、この話をどう考えますか？

　前出の「拒否できない日本」の著者の本です。
　昨年から話題のＴＰＰを取り上げています。一読しただけなので、更に熟読が必要かと思いますが、この本を読んでＴＰＰに参加したいと思う人はいないのではないでしょうか？
　普通の政治家ならば、参加しないことを選択するでしょう。強力な政治力を持つ政治家なら、更にその上を行くことを考えるかもしれません。
　あとがきから一部を引用します。（この本は東日本大震災のあとに出版されました）
『日本が未曾有の国難に襲われたとき、多くの外国人は日本から去っていってしまうということがよくわかった。
　それをとがめだてするのは間違っている。裏切られたとか見捨てられたなどと思うのは甘えである。彼等には彼らの生き方があるのだ。心静かに見送ろう。
　ただ、一つだけはっきりしたことがある。いざというとき、彼等には帰っていく祖国があるが、私たち日本人には逃げて行けるところは、この日本以外にはどこにも無いという厳粛な事実だ。私たちはここに踏みとどまり、祖国の復興に一所懸命、奮励努力するしか生き残る道はない。
　いまは、外にふらふら出ていくときではない。隣の芝生を羨ましがっている余裕はない。
　いま私たちがなすべきは、外資や移民の力に頼ったり、海外市場で外資を稼いだりすることではない。
　ここに残り、足元を固め、国としての一体感を取り戻し、自らが依って立つ社会の基盤を復興することが先決である。疲弊した国内経済、地域社会、農業、医療を立て直すのだ。（中略）
　日本の国難は、日本人が自らの力で乗り切っていくしかないのだから。』
　ＴＰＰを考える時には、是非、一読して頂きたい本だと思います。

　評論家。拓殖大学日本文化研究所客員教授。1946年、石川県金沢市生まれ。早稲田大学中退。「日本学生新聞」編集長。月刊「浪曼」企画室長等を経て貿易会社を経営。著書多数。
　中華人民共和国という国家は、共産党独裁国家であり、欧米諸国や日本とは違う国であることは周知のことかと思いますが、割と日本人は同じ感覚で捉える事が多いのではないでしょうか？
　経済的には新興国として発展していることが注目されていると思いますが、実際のところを掘り下げてみると異なることが分かります。一部を引用してみます。
　『中国のジニ系数は０．５に近づいた。2008年頃すでに０．４２と言われていたが、あれから貧富の差はますます拡大したのである。ちなみに北朝鮮のジニ係数は０．４５。この指数は１％の特権階級が、その国の富の４５％を寡占するという意味であり、中国のジニ係数が０．５という数字は１％の共産党の幹部らが国家の富の半分を寡占している状態であるという意味だ』
　皆さんはどう思いますか？共産主義・社会主義には”赤い貴族”ができてしまうものなのでしょうか？と思っていると巻末近くに次のような引用がありました。
　『中国は《水滸伝》の世界を考えたほうがわかりやすいかもしれません。要するに、義兄弟と仲良くするというような、自分と組む人間だけで天下を取ろうぜ、それで山分けしようぜという世界』。（中略）『精神としては《水滸伝》と変わっていない』。
　この本の話題は経済的なものも盛り沢山ですので、興味の湧いた人は是非、一読してみてください。メディアからは流れてこないフレーズに出会うことになると思います。

　『知らないと恥をかく世界の大問題』の著者の本です。
　一般に日本人は無宗教だと言われますが、養老孟司氏は見事にこれを次のように表現しています。「無宗教の『無』は、仏教の『無』ですよ」と、応えています。凄い洞察力なのではないでしょうか。
釈徹宗氏は「日本人は無宗教を標榜しているからといって、宗教性が乏しいわけではなく、非常にアンテナの感度がいいんじゃないか」と語っています。
　印象的なのは、ウェールズ系日本人と称している作家のＣ・Ｗ・ニコルさんが、「日本に来ていちばんよかったことの一つは、宗教からの自由だ」と言っていることです。　海外では、それだけ宗教に縛られていることが多いということになります。
　気になる人は、一読してみてください。

　日露戦争時の軍人の過酷な状況打破と天佑（登場人物の秋山真之が例えています）でロシアよりも戦死者を出しながら、世界に対して日本国を主張した戦いを書き綴っています。一つの天の利を欠いても、おそらく勝つことはできなかったと思わせる戦いです。それは、世界最強と言われたバルチック艦隊が壊滅的損害を被ったことが世界でただ一つの事例であることからもわかります。この時の日本人が如何にロシアを恐れていたか、そして失敗を許されない戦いを行ったかを知ってください。

　零から国の最高峰の武将を目指した斎藤道三の物語です。
地方の国主たれば征夷大将軍になったかもしれない武将の生き様なのですが、私個人としては油屋の女将が強姦された時に見せる道三の思いやりが国を盗もうとした男と対照的で胸が熱くなります。それは、河原で女房の股間を洗い周りにキツネの死骸を置き心を傷つけぬ配慮をするのです。彼の味方などなかっただろうに・・・。女将無くして道三の今がない事は忘れていなかったのです。蝮と言われた道三のもつ人格を考えると、こんな一面があるからこそ人もついて来たのではないかと思います。全てが蝮の如くであれば、必ず暗殺されているに違いないからです。

　中学生の頃、大好きでした。（何十年前だろ！）
ただ、ひたすらのめりこむ姿を自分にダブらせてみたりした本です。実際には、吉川英治氏のこの本は時代考証の不一致等の問題点を含んでいると言われていますが、私にとってはそんな事はどうでも良いのです。
　美しい文字の流れと物語の骨子さえしっかりしていれば私は良かった。現在巷では、『バガボンド』が武蔵の境涯を漫画化してますが大人気のようです。わかるなぁ、私も何回も読んだもの。剣聖なんて呼ばれてさ！
壁に円を書いて胡座を組むようなストイックさが心に沁みるのかな？必死さが沁みるのかな？
刻々と流れるプロセスが素敵なんだけどね。

　高校生の頃に3回くらい読みました。
あらすじは皆さんご存知かと思います。劉備玄徳、関羽、張飛の桃園の儀、孔明への三顧の礼が有名ですね。”泣いて馬謖（ばしょく）を切る”なんて格言も残ってます。
広大な大陸を舞台にした物語です。三国志は、美しい日本的な終わり方をしているんですが、中国の三国志演義は魏の司馬仲達の子孫が大陸を席捲し滅亡するまで記されています。これは、やはり国民の気質に影響されているんだと思います。
日本人はロマンティストなんですね。

　”花神”って花咲かじいさんのことだって知ってました？知らなかったなぁ、私は。
周防の村医だった大村益次郎が、討幕軍の総司令官となって、日本国の近代兵制の創始者になり、維新渦中で非業の死を遂げる生涯が描かれています。ＮＨＫでも長編ドラマになりましたね。戦い云々よりも、時代の要請に応えた生き様が悲しいし、雄々しいです。
　武家でない人間が、近代兵制の創始者になったのも、まさしく時代が呼んでいるとしか感じられません。

　越後長岡藩の河合継之助が家老になって考えたことは、幕末の動乱期の中で長岡藩単独の独立国家を目指した。かたや小泉首相が口にした「米百表」を唱えた小林虎三郎も長岡藩の人だった。河合継之助は、激烈な死を迎えそして小林虎三郎は長岡藩の人を生かしめた。
　この人の野望は実らなかったけれど、決してそれは個人の存続のために費やしたものではなく、藩を考えた末のことであった。死に行く河合継之助もこうして司馬遼太郎氏が伝えなければきっと誰からもかえり見られなかったに違いありません。
　日本という国は、こんなにも裾野が広かったんだな、と思わせてくれます。嬉しい一冊でした。

　明治維新の精神的支柱は、この人吉田松陰であった。といっても過言ではないと思う。
幕府の精神的支柱が勝海舟であるならば、吉田松陰は討幕軍の精神的支柱である。両者は互いに目指すところは同じかもしれないが、立場が違うために形の上では敵味方である。
しかし、維新が成し遂げられたのはこのバックボーンなくば遂げられなかったであろう。
おそらく、鎮圧されてしまったに違いない。松下村塾から幾多の若人が飛び立ったか調べてみれば歴然とします。野山獄のなかで、囚人たちとともに『講孟箚記』を学び、著したのであった。同時に入獄するものが体調を壊し亡くなるなか、松陰は煌々と目の光を失わず過ごしていたのだった。それは伝馬町の獄で処刑されるまで続くのである。その後、松陰は桂小五郎らによって千住回向院に葬られることになる。

　この本は吉田松陰の遺書と言われている本です。
　安政六年（一八五九）十月二十七日、吉田松陰が小伝馬上町牢の刑場で、波瀾に充ちた三十歳の生涯を閉じた。『留魂録』を書き上げた翌日である。その時に至るまでさまざまな葛藤があったことを感じさせてくれる文章なのですが、同時に生きる勇気も貰えるものではないかと思っています。
　その中で印象的に書かれている死生観は「今日死を決するの安心は四時（四季）の順環（循環）に於いて得る所あり」と云う。
「私は三十歳、四季はすでに備わっており、花を咲かせ、実をつけているはずである。それが単なるモミガラなのか、成熟した粟の実であるのかは私の知るところではない。もし同志の諸君の中に、私のささやかな真心を憐れみ、それを受け継いでやろうという人がいるなら、それはまかれた種子が絶えずに、穀物が年々実っていくのと同じで、収穫のあった年に恥じないことになろう。同志よ、このことをよく考えてほしい」としている。　すべては後に迎える明治維新で明らかになるのである。

　実在の人物（芳野満彦氏）をベースに、竹井岳彦というアルピニストの逆境からの復活を書き記しています。感情に訴える本です。なぜ、山なのか？きっと山登りをしない人にはわからないかもしれません。けれども、その迫真さが伝わる本なのです。
　人の、三歳の子どもにさえも備わっている『真剣・情熱・愛情』、この三つの要素を揺さぶるのです。身体の上だけでなく、芯からくるものを感じたいとき読んでみてください。

　明治後期の、部落出身の瀬川丑松の内面を描いたものです。丑松は、その素性を隠していました。それは、父からの言いつけであったからです。江戸時代、士農工商という身分制度が日本にありましたが、それ以外に穢多・非人といった、それ以下に見られていた身分がありました。丑松が階級制度を打破してゆく姿は現在となっては何故そこまで悲愴になれるのかと思うかもしれません。けれども、人は誰でも陰の部分があり、それに光を当てることは勇気のいることです。
　外部からの階級制度ではなく、自らの中の階級制度の打破として読まれるといいんじゃないでしょうか？

　お茶の水女子大理学部教授。数学者。作家・新田次郎と藤原ていの次男。と作者紹介に記してあります。著者が薦めるのは、武士道の復活です。大切な事を説いていることは解るのですが、その求めるものが抽象的なためか、あるいは既に潜在意識の中にあるためか、捉えどころが薄く感じてしまいます。現在の経済は市場経済によって運営されていますが、その根源であるキリスト教原理主義であるカルヴァンの予定説〜カルヴァン主義〜ロックの自由・平等・国民主権などが現在の全てであることを説きます。そして、こうした思想と論理の浸透した文明国が、みな荒廃に陥っていることを注目すべき事としています。
　例えば、イギリスの紳士階級の人達は文学・芸術・宗教など、直接に役に立たないことをも重んじる。金銭を低く見る。ロンドンのシティに務める金融マンの中には、たたき上げで金持ちになっている者がかなりいます。それでも彼等は尊敬はされないらしい。いくら金持ちになっても同じなのだそうです。また、『文明の衝突』を書いたアメリカの国際政治学者サミュエル・ハンチントンは、世界の八大文明の一つとして日本文明を取り上げている。大正末期から昭和の初めにかけて駐日フランス大使を務めた詩人のポール・クローデルは、大東亜戦争の帰趨のはっきりした昭和十八年に、パリでこう言ったそうです。「日本人は貧しい。しかし、高貴だ。世界でどうしても生き残って欲しい民族を上げるとしたら、それは日本人だ。」
　彼等の賛美している日本人は、現代の日本人では無いのです。道徳のはっきりした、教育の行き届いた日本人を指しているのです。識字率のおそらく世界トップであった。古き日本の人々は、これだけ評価されていた事を知るべきでは無いでしょうか？

　著者は昭和28年山口県生まれ。山口県立高校教諭、山口県史編さん室専門研究員などを経て、平成10年岡崎学園国際短期大学教授。著書に『吉田松陰名語集──人間を磨く百三十の明言』（致知出版）などがある。
　吉田松陰は天保元年（1830）八月四日に生まれ、安政六年（1859）十月二十七日、江戸伝馬町の獄で処刑され、二十九年二か月の生涯を閉じた。
　松蔭が生きた時代は、欧米列強が日本の植民地化を企図し、武力をもって迫っている時代でした。これに対し、徳川幕府はなす術もなく権威を失墜、国内は対立抗争が激化、日本全体が大揺れに揺れていました。
　そして、吉田松陰が心に刻んだものは、この本の最後に書かれてある気概なのではないかと思います。引用します。
『松下陋村と雖も、誓って神国の幹とならん。』（安政五年十二月「村塾の壁に留題す」
　村塾の壁にこれを掲げて、志を燃やした。志を持つことが、日本を支えたのだとも思えます。

　夢枕獏氏とは異なった描写が私は好きです。徹底的な美と徹底的な悪とのデフォルメがはっきりしています。
どちらかというと、清さというものより”ヌメリ”を感じさせるかもしれません。泥中の花なればこそ、その美しさをなおさらに感じる瞬間もあると思います。
　谷恒生氏は、他にも平安期の読物（例えば、”役小角”など）を記してますので気になったら探してみてください。
結構おもしろいです。

　著者は、1956年、韓国・済州島生まれの韓国人です。第五回山本七平賞を『攘夷の韓国・開国の日本』で受賞されました。日朝修好条約が結ばれた1876年（明治9年）前後から、1910年（明治43年）の日本の韓国併合に至るまでの約35年間について、筆者による韓国が日本に併合されるに至った「韓国側の問題点」の検証・徹底的な究明を試みたものです。豊富に事例を取り入れて客観性を出す努力をしている事がわかります。日本人による問題提起ではなく、韓国人である著者の提起というところに、現在に至るまで韓国政府が行わなかった、又は行っていない論点があります。

　2005年4月に日本の常任理事国を巡って中国・韓国の反日運動が盛んに行われました。いろいろ調べてみると、彼等は自国の虐殺行為に対しては肯定していることがわかります。また、中国では南京に抗日記念館を建設して、これを世界遺産にしようとする動きもあるようです。物資のない日本が何故虐殺行為などするのかわからずに、細々とではありますが調べてみる事にしたわけですが、南京事件の資料として最初に選択したのが、この本だった訳です。タイトルに「南京大虐殺」と書いてある本は、マスコミ風で客観的な内容と懸け離れていると感じたからです。この本は、それに応えて東京裁判等で参考とされた資料について検証してゆく構成になっています。未来を見るために過去を検証しておくことも必要な事なのではないかと思う次第です。

　ＰＨＰ研究所の機関誌「ＰＨＰ」の裏表紙に、これまで記載されてきた短文の中から、百二十一篇を選んでまとめたものです。その言葉は、読むときの自分の心によって受け取り方が変わります。時にはフィットし、時には違和感のあるものとなったりするわけです。それは、如何に自分の心が一定で流れているのではない事を知らせてくれるものとなり、自分の心の定規ともなる事ができそうです。著者が、どのように日々を過ごされていたか想像する事ができる、想像する事が楽しく思えるでしょう。

　台湾前総統。1923年台湾生まれの台湾人です。
　李登輝氏は「親日家」と呼ばれるのを嫌がります。「愛日家」でなくては駄目なのだそうです。しかし、この本を読むことによって充分に納得することができました。「葉隠」「甲陽軍鑑」さらには、鈴木大拙の「禅と日本文化」など、およそ自分自身が恥ずかしくなるくらい日本の著作を読んでいるのです。それに併せてカント、ヘーゲルと言った西洋哲学書も読んでいる。キリスト教徒でもあります。
　そういった抽象的概念を新渡戸稲造氏の「武士道」によって実学として展開させていっているのだと思います。
また、直接関係はありませんが、米国大統領のルーズベルトの愛読書も「武士道」だったそうです。

　著者は東京財団研究員。産業コンサルタントと銘打っています。エコノミストでもあります。
　この本では、日本人が中国にもあるだろうと思っているものが、中国にはないことを、個々具体的に論じています。
　本の中から象徴的な部分を抜粋しますと、『上海総領事であった故・杉本信行氏が亡くなる直前に著した「大地の咆哮」で指摘した通り、中国では「金を貸すバカ、返すバカ」で「市場経済のシステムがまったく機能していない」のである。』
　『この本で個々の論点ごとに検討してきたように、現在の中国には、「しじょう」経済を成り立たせるものが、ほとんど何もない。そうした経済を、「原始資本主義」という新しい言葉を造って評してみたり、「日本よりも資本主義的」だと感心することは、的外れではないだろうか。
　中国に市場経済や資本主義がなくても、中国の人達が幸せに平和に暮らしていけるのなら、それはそれで好い。
　しかし、中国の人達だけでなく日本人までもが、市場経済ではないものを市場経済だと思い込み、資本主義ではないものを資本主義だと勘違いすることは、結局は、中国の人達にとっても日本人にとっても不幸の種にしかならないだろう。』

　ご存知、必殺仕掛け人「藤枝梅安」のシリーズです。仕事人などというとなにやら物騒で嫌な感じがするでしょうが、なにやら不思議な感覚を覚えます。それは、梅安のなかの修行僧のような側面が印象的なのです。殺人を正当化する気はさらさらありません。されども、巨悪というものは通常表に現れず、影でのみ生息し正義の仮面をかぶっているものです。人の心には影の部分があるから、それが助長しないように歯止めをかける種も必要なんじゃないかな？というのが感想です。

　特殊な安倍晴明を、源秀雅を身近に添えることによって、読者にとっても身近な存在（？）として感じさせてくれます。（でも、やってることは常人を逸脱していますが・・・）
シリーズとして”飛天ノ巻”、”付喪神ノ巻”、”七人の安部晴明”、”鳳凰ノ巻”等があります。
　ＮＨＫでも特番が組まれました。主役はＳＭＡＰの稲垣吾郎です。

　1955年東京生まれ。東洋大学教授。ＡＦＪ理事。金融庁顧問。東大理学部数学科・経済学部経済学科卒。大蔵省入省後、内閣参事官等を歴任。著書に『さらば財務省！』他。
　この本の良さは、日銀や財務省、知事、議員、さらにはマスコミの発言の思惑が書かれていることです。印象的だったのは、「どこの中央銀行もそうだけれど、日本銀行ってすごい大きな権限がある。国全体の経済を動かせるんだけど、日本銀行は目標もないから責任がほとんどない。失敗してもほとんど何もないっていうのは、不思議な国だよね。」とか、「ＣＰＩ（消費者物価指数）は計算すると１くらい高目に出る。だから、物価が１パーセントになっても、ほんとうはゼロぐらいなんだ」つまり、物価が１パーセント以下の時はデフレであるということ。
　また、日銀と財務省の相克など、じっくり読むと面白いと思います。

　1945年、中国に生まれる。早稲田大学卒業。1971年、毎日新聞社入社。高麗大学、スタンフォード大学留学。現在は早稲田大学国際教養学部教授。
　先ず、北朝鮮というと一般的な生活として関係しているのは、アサリ・松茸といった食材、古タイヤ・中古自転車の輸出くらいでそれほど係わりはないと言えます。しかし、それも現在では経済制裁によって存在しないことになっています。
　それでも一方では、日本人拉致・偽タバコ・麻薬・偽札・三陸沖ミサイル発射・核開発等日本の主権や安全保障を侵害・脅かしている国が北朝鮮という国です。
　そういった観点から見ると、六カ国協議・日朝交渉での対応や体制に関して理解を深める本ではないでしょうか。

　1942年生まれ。ジャーナリスト。2001年から07年3月まで帝京大学教授。
　この本は過去もしくは現在の事例に関して、視点を変えてくれるものです。表に出てきていた表現と裏に潜む事実の関連性を考えさせてくれます。高山氏の膨大な知識の中の一端を垣間見ることができ、まさしく現場感覚の捕らえ方を知ることができます。
　現在、週刊新潮で同じく変見自在は今も続いており、新たな切り口を読者に提供するものです。気になる場合は週刊新潮の「変見自在」を一読すれば分かります。

　著者は、1941（昭和16）年、大阪市生まれ。京都大学経済学部卒業後、共同通信社入社。社会部記者などを経て1978〜79年、韓国・延世大学留学、'80〜'84、共同通信ソウル支局長。1989年から産経新聞ソウル支局長（現在、論説委員を兼任）。
　一言でいえば、社会性が異なることがよくわかります。理解しやすい言葉や引用で説明してくれているため、容易に読むことができます。著者があとがきで『本書は隣国の人びとの対日歴史観についてのささやかな体験的私論である。隣国を理解し、隣国との付き合い方を考えるうえで参考にしていただければ幸いである』と書いています。文中に「似ているようで似ていないが、似ていないようで似ている」という言葉が印象的でもあります。

　著者は1946年金沢市生まれ。早稲田大学英文科中退。「日本学生新聞」編集長、月刊「浪漫」企画室長などを経て、82年『もう一つの資源戦争』（講談社）で論壇に。84年、中国留学生の反体制運動の嚆矢となった「中国之春」グループを日本人チャイナ・ウォッチャーとして初めて取材。その後、数百の中国人亡命者を世界各地に訪ねて著した『中国の悲劇』（天山出版）が斯界で注目される。
　この著書の中で触れられている『北京愛国・上海出国・広東売国』のように五十五の少数民族と大部分を占める漢族による国家であるのだから、日本人が一様に想像する中国人というイメージはすべてに当てはまらないことがわかる。
　日中友好条約締結後に、日本企業が国家要請を受けて中国への進出をすることになるが、少なくとも十分な調査をして進出すべきではなかったか？と考えさせられる著書である。
　これを代表する言葉が本書の中にある。『中国人の常套句、「問題ない」というのは額面通り受け取ってはいけないのだ。「問題ない、まかせておけ」と言うのは彼らの面子であり、実態は問題だらけでもそれをなじると「面子を失った」と言って怒るのである。「問題ない」と言うときは、たいてい「問題が大あり」と思えば間違いないのである。』これである。
　日本人の慣習からすれば、「問題ない」と語ったときにうまくいかなければ、ただひたすら謝ることになるので問題の有無は重要だが、彼らは面子だけで語ることも考慮しなければならない。中国がらみの仕事をされるなら、一読しておく著書ではないだろうか。

　このホームページの『引き出し』の中でも抜粋を紹介しています。
随筆集なんですが、何か迷うことがあるとき読んでみてください。本来教養とはそんなものだと思います。私は、中学から卓球を始めたので体育系の考え方はわかるつもりです。目標があるうちはいいんですが、目標を失った場合、割ともろいところがあります。体は丈夫ですが精神的に支柱を失うようなことがあります。そんなときに役に立つのがこういった本なのです。誰でも、何を元にしたらよいか迷います。きっとそんな時沁みる言葉が発見できると思います。そして、立ち上がればいいんです。

　中学生の修学旅行で京都の大仙院に行きまして和尚様（尾関宗園氏）の話がおもしろかった（宮本武蔵の沢庵さんを英雄視してましたから、沢庵和尚は実在の人物なんですが、おそらく武蔵とは出会っていません）ので、この本を買わせてもらいました。すると、ご本人がサインしてあげると言いながら買った本にサインしてしまいました。
まぁ、和尚様という職業に関心があったのではありましたが、”なんか違う！”と思った出来事なのでした。わたしゃ、ただの中坊なんだぞ！スポーツ刈りが良かったかな？それとも、聞いてるときヘンな顔してたかな？彼は結構な名物和尚様なのでした。
　そんな場合、お願いしてサインしてもらうものだよね！？昨年お袋が大仙院に行った際、まだまだ元気で頑張ってたみたいです。

　以前､週間「プレイボーイ」に掲載されていた読者からの質問や願望に対して和尚が答えるという問答形式のものを一冊の本にしたものです。
　これが、気持ちいいくらい言葉で切っているんだけど、相応の理を教えているんだな。
美しい言葉ではないけど、しこりの残らない決断しやすい問答です。あぁ、今東光氏自身は比叡山延暦寺で修行された和尚様です。形にとらわれず、読者の納得する回答をしている？（なかには納得して無い者もいそうだが）、私的にはそうだなって頷ける回答です。感情に根ざした言葉を見たいなら、一度見てみる価値はあります。
粗野過ぎると怒らないように。評論の文章に疲れた人にはお薦めです。

　これは漫画です。新ゴーマニズム宣言Ｓｐｅｃｉａｌの中の一論です。台湾の歴史に関して、日本人は割と教えられていないのではないでしょうか？体系的に全体像を知りたい時には良い本だと思います。詳細に関しては、自分で調べる等の選択肢がありますし、掘り下げることも可能です。この本では、李登輝元総統から陳水扁前総統に関して記されており、現在の馬英九総統に関しては記されていません。馬英九総統は、前者の人達と軌を一にしていないと思います。

　神道系の本です。宗教的な部分を除けば、当たり前のことを当たり前に教えてもらえます。人は当然のことがわからなくなってしまうこともままあるものです。そんな時は、この本を読めば「そうだったね。」と納得することができます。
　異なる角度から、自分自身を見直したいと思ったら一度読むことをお薦めします。あなたが今まで幸福と思っていたことが、割と砂の城のように感じることができるかもしれません。

　著者は忘れてしまいましたが、よくある偉人伝です。我家はちょっと変っていて、子供の頃最初に読んだ本は、昆虫図鑑、次が魚貝図鑑、文字で最初の本はきっとこの本です。
　だから、印象が強い本です。後で知ったことですがシュバイツァー博士はオルガンも世界的に有名な奏者だということです。なぜ、アフリカに渡るのかわかりませんでした。
イメージとして残っている感じではないんです。潜在意識が憶えている感じなんだな。
でも、普通の家庭って桃太郎だとか、白雪姫だとか読ませるんじゃないかなと思うけど。

　カトリック教徒でありながら、一切の宗教を超えたところに素晴らしさがあります。
彼女がたとえ何者であろうとも、常に与え続けてきました。
でも、いつも彼女は言うのです。「私もまた与えてもらっているのよ」と。
なんという、心なのでしょう！日本の古事記に”下津岩根に宮柱太しく立てて・・・”というくだりがありますが、まさしく彼女は心の巨人です。
彼女の宮柱の太いこと、その昔１人でインドに来たことを考えれば、この時の彼女はすごかっただろうと想像させます。
　そして、発展途上国だけに貧しさがあるのではない、先進国の人達も飢えています。それは、心の激しい飢えです。と、見事に喝破しています。生活が豊かになってもまた、人の心が求めるものは古代から変わらないのではないでしょうか？
”与えてください・・・心が痛む程に。”これが彼女からの最大のメッセージなのです。

　皆さんは知らないかもしれませんね。スウェーデンの地質学者だった方で、40歳から霊媒体質に目覚めた方です。かの哲学者カントからは、パラノイアと酷評されました。でも、カント自身が、彼に会いたがっていたことも事実として知られています。
　一番感心したのは、聖書の解し方です。旧約聖書の読み方を解説しているのですが、人に進化する過程を著している（私の表現が、ものすごく大雑把ですが）と説いています。
　自らの死期を予言し、生理学その他の学問に貢献した人です。きっとノーベルが生まれた後の人物であるならばノーベル賞を受賞したはずです。（1688〜1772）
　別な角度から人間というものを認識させてくれた本です。
もっとも、この時期例のノストラダムス本が流行っていた頃ではありますが。（＾_＾）``>

　将棋の十五世名人大山康晴氏の本です。元来、攻め将棋が兄弟子の升田幸三九段の攻めがあまりにすごかったので受けが上達してしまった？というくらいの読みの深さと駄目の先にある驚愕の受け手を用意して超人と云われた人です。
　おもしろいのは、チャンスは必ずあるということと一回目のチャンスは見逃すという周到さです。そして二回目以降のチャンスはものにする。駄目でも一手違いに指す。といったような、これにして名人たりという感じの考え方を学べます。
　現在の棋士では、羽生善治名人（2004年6月現在）が受け手は似てるんじゃないでしょうか？将棋好きにはお薦めです。嫌いでも参考になると思いますよ。

　皆さんご存知かと思いますが、あの松下電器の創業者の本です。仕事に悩んだときとか、指針を決める時などにはいいんじゃないかと思います。静かな口調の中に強い信念のある本です。決して、押し付けがましくないけれども、説得されているといった感じの本です。
　ある社長（松下ではない方）も、企業を越えて尊敬の気持ちを憚りませんでした。達人という人は、いや極めるということはこんなことなのかな？それは、諸芸においても産業であっても少しも変りはないんじゃないかと思わされる一冊です。

　将棋の元名人だった人です。棋風は新手一生の方です。本人は泥沼流といっています。物事の切り口、説得の仕方が独特の発想を持っていてまさしく職人気質且つ将棋以外の世界の知人も多くさわやか流と呼ばれています。これは読まなきゃわかりません！
他にも『人間における勝負の研究』、『人生一手の違い』などもお薦めです。（祥伝社文庫）

　再び、米長先生の本の紹介です。2006年7月に発行されたものですから、最新刊です。原文から引用して見ます。
『運のいい時というのは、満開の桜のようなものだ。美しく華やかで、人目を惹く。
　一方、不運に見舞われ、不遇をかこっている時は、桜の木が土の中に根付こうとしている時期である。
　人は満開の桜に目を奪われ、色や枝ぶりを誉めそやしているが、根っこを張っているだけの木には目もくれない。あるいは、「この桜はダメだね」などと言っている。目には見えない土の中のことは無視され、花をつけていなければ敗者として処理されていくのが、今の世の中である。
　だが、しっかりと根を張った桜は、やがて芽を出し、驚くほど豊かな花を咲かせる。
　不運とは、幸福の根源にほかならないのである。』　いい本だと思います。一度、読んでみて下さい。

　日本棋院の棋士で、最初の名誉棋聖になった方です。ただ、傍から見た感じはむちゃくちゃに見えます。
なにせ、借金が多い。ギャンブルで億単位の借金があります。
その素行から、日本棋院を追放されてもいます。
　けれども、碁においてはすさまじく素直・努力家です。実践で考えて新定石を打ったりします。
その言葉は含蓄があり、芯から出ている言葉です。子どものように天真爛漫に碁に向かう藤沢棋聖の言葉を覗いてみませんか？

　テレビで紹介されたこともある視力回復本です。実際にこの本の中に入っているメガネをかけることによって見えるということを言ってました。あの”C”の方向が書いてあるランドルト環も入っているので試すことができます。私は視力がいいのに持ってるけど、もし貴方の視力が悪かったら試してみたら？

　女性二人の共同ペンネーム。共にパリ大学（ソルボンヌ大学）・リヨン大学に留学、主にフランス文学や歴史を専攻する。帰国後、共同執筆を開始。
　以前、話題になった本です。今（2009年）に読みました。子供用の物語があっても良いとおもいますが、その話は当時の生活やそれまでの生活が中心になることになるのでしょう。人間には五欲があると言われます。食欲、睡欲、性欲、名欲、利欲の五つです。厳格な生活の中では、時にこれらの欲が屈折してしまうのだという事がわかります。白雪姫が近親相姦であったり、青髭が異常虐殺であったりと精神的に屈折した姿を曝け出します。欧州でもそのような過去があること目の当たりに知ることのできる本です。なぜ、それを童話にしたのか？疑問にも思います。
　日本の昔話の方が勧善懲悪なら勧善懲悪として明確になっているのではないか？とすら思うほどです。

　『三教指帰』は”さんごうしいき”と読みます。空海、二十四歳の時の著書を口語訳したものです。空海の母方の阿刀家は学者の家系で、空海の伯父にあたる阿刀大足（あとのおおたり）は、伊予親王の教育係をつとめた高名な儒学者です。その空海が、儒家の亀毛先生と道教の虚亡隠士（きょぶいんじ）を登場させそれぞれの教えを説き、最期に仏教の代表として仮名乞児（かめいこつじ）を登場させ大乗仏教の広さと深さを説くというものです。即ち、空海の自身の叫びと宣言のようなものではないでしょうか。
　空海にとって、これは終生のテーマであったらしいことは、空海五十七歳の著作、『秘蔵宝鑰（ひぞうほうやく）』で同様の趣旨が示されていると訳者は説いています。

　著者は、将棋をさす人であれば知っているであろう。羽生善治１９世名人（襲位予定）です。1970年生れの著者の中には、古風な面と新人類と呼ばれた世代の両面が垣間見えます。
　将棋だけの知識の持ち主ではないのですが、一芸に秀でた人物の言葉は極めるという行動の一端を見せてくれます。印象に残るのは「プロらしさとは、力を瞬間的ではなく、持続できることだ」と言っていることです。早くから天才といわれた中原誠１６世名人の兄貴分である故・芹沢博文八段もタイトルには、あまり縁のない人だったように思います。（もちろん、故・芹沢八段はプロですからコンスタントな力はもっているのですが）タイトル奪取というのは、コンスタント・レベルの高い人なのではないかと思う次第です。
　中学生棋士としてデビューした羽生善治氏の言葉としては、とても以外だったので印象的でした。

　著者は1948年、鹿児島生まれ。九州大学医学部を中退後、新聞記者や雑誌記者などの職業を経て、作家になった方です。
　何と表現するべきでしょうか？読みたくなる本です。例えば、安岡正篤氏の縁尋機妙（えんじんきみょう）、多逢聖因（たほうしょういん）という言葉を紹介しています。意味は「良い縁がさらに良い縁を尋ねて発展していくさまは、誠に妙なるものがある──これを縁尋機妙という。またいい人に交わっていると、良い結果に恵まれる──これを多逢聖因という。人間はできるだけいい機会、いい場所、いい人、いい書物に会うことを考えなければならない」というものです。
　他にも、『中庸』から引用した『誠は天の道なり。これを誠にするのは人の道なり』等を説明しています。
　しかし、重要なことは戦後、国を二分して労働運動が革命にまで発展するのではないだろうかと思われていた時に、安岡正篤氏は「一燈照隅（いっとうしょうぐう）・万燈照国（ばんとうしょうこく）」を掲げて行動され、国が二分するような状況を避けられたことではないでしょうか。